この世界の片隅に(上巻)を読みました【その③ネタバレ注意】

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マンガ名:この世界の片隅に 上
著者  :こうの史代
掲載誌 :漫画アクション
出版社 :双葉社

以下、ネタバレ含みます。

なお、前の話が気になる方ははその2を先に読んでください。

ストーリー

19年3月

周作の義姉、けいこが娘の晴美を連れて北條家に里帰りしてきます。すずは義姉に服装が「冴えん」と言われてしまったので、着物をくずして新しいモンペ作りに取り組みます。どうやら裁縫は苦手な様子。天然なすずは義姉の嫌味にも全く気付いていません。

義姉の娘、晴美は5、6歳でしょうか、すずにもすぐに懐いて可愛らしい。すずは晴美に残ったハギレで袋を作ってあげます。

義姉が里帰りしているので、すずも広島の実家に里帰りしてはどうかと言われます。すずは久しぶりに実家へ帰ってきました。久々の家族団らんでは、兄、要一から手紙の返事がないことが話題になりますが、要一は筆不精じゃけと皆納得します。1つ年下の妹のすみは、軍需工場に女工として働きにいっています。お互いのことを報告しあい、姉妹でつかの間のおしゃべりを楽しみます。

再び呉へ戻るすずに父はお小遣いを渡してくれました。駅までの帰り道で雑記帳を買うすず。広島の路面電車や産業奨励館(原爆ドーム)を描き残します。そして広島に「さようなら」を言い、呉行の電車の切符を買おうとします。しかし、その日の切符は売切れており結局もう1泊することになってしまったのでした。すずの相変わらずの天然ぼけにあきれ顔の浦野家。

19年4月

義姉と娘の晴美はそのまま北條家で過ごしています。なぜかいつもより元気のないすずの様子に不思議がる北條家の面々。回覧板を回しに外出したところで職場から帰宅中の周作に会います。

2人で呉の海を眺め、修平はすずに呉の海に浮かぶ戦艦大和のことを教えます。「東洋一の軍港で生まれた世界一の戦艦である大和」であると。大和を見るのに夢中になり土手から転げおちてしまうすず。すずを支えた瞬間に、すずの頭に小さな「ハゲ」ができていたことに気づきます。どうやらすずが落ち込んでいた原因はこれっだったのですね!周作さんは「気にしよったらハゲはよけいひどうなるで」となぐさめるのでした。

19年5月

国民学校で婦人会の講演会があると知った義母とすず。行きたいという義母ですが、足が悪いからと諦めます。そこですずは八百屋さんから自転車を借りてきて、義母を後ろに乗せて学校まで連れて行ってあげるのでした。重くないかと気遣う義母。良い嫁姑関係ですね。昔を思い出す義母の話にゆっくり耳を傾けるすずでした。

19年6月

義姉が配給所でもらった「こまつな」の種をくれました。晴美と一緒にさっそく庭にまくすず。義姉は下関の家へ帰って行ったようでした。

しばらくして、再び義姉が晴美を連れて北條家へ帰ってきます。どうやら夫とは離縁して戻ってきた様子。それに驚く北條家の面々でした。

19年7月

一家全員で防空壕を作る北條家。この頃になると空襲警報が発令されるようになったようです。大人も横になれる立派な防空壕が出来上がりました。地下というよりは山の横に穴を掘った洞穴のような感じの防空壕です。重機の無い時代、もちろん手作業で作られていったのですね。

土を運ぶすずは、海を眺める晴美に会い、晴美から呉に浮かぶ軍艦の名前を教えてもらいます。幼いのに難しい名前を沢山知っている晴美に感心するすず。

そうこうしているうちに突然の大雨。慌てて先ほど堀った防空壕に避難します。すずと周作は防空壕の入口でお互いの濡れた顔を拭きあいます。自然と唇を合わせます。そこへ後ろから義両親が現れ、ひどく慌てる2人なのでした。「……夫婦なんじゃけえ仲ええは結構」と気まずそうに声をかける義父。照れる2人。離縁したばかりの義姉がふてくされて居るのを、義両親と若夫婦が慰めるのでした。

以上で上巻は終了です。

感想

ほのぼのとした絵柄に、セリフが少ない中でも心の機微がこちらの心にもしみてきます。文字では表現しきれませんが、コマには書き込みもたくさんあり当時の庶民の生活の様子が細かに見てとれます。本当に日常の描写がリアルなので、こうの先生はよく調べられたなと感心しました。当時の回覧板の中身まで描写されています。

すずと周作の関係も暖かい気持ちにさせてくれます。2人のぎこちないながらも愛のあるやり取りやそれを見守る周囲の人物たちも良いですね。お義姉さんはすずに対して多少あたりがきついんですけど、悪気はない感じですし、そもそもすずが全く嫌に感じていないので、これはこれで良い関係なんだと思います(笑)。すずは本当に嫌味がなくて純粋で可愛い女性ですね。

そして、読み進めるうちに日常の中にだんたんと戦争の影が近づいてくるのがわかります。これから中・下と続きますが、戦禍が近づく中で北條家とすずがどうなっていくのか気になりますね。

中巻その1に続きます。

レクタングル大
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