この世界の片隅に(下巻)を読みました【その②ネタバレ注意】

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マンガ名:この世界の片隅に 下
著者  :こうの史代
掲載誌 :漫画アクション
出版社 :双葉社

以下、ネタバレ含みます。

なお、前の話が気になる方ははその1を先に読んでください。

ストーリー その1

20年8月

シーンは北條家。どうやらすずは広島への帰り支度を進めている様子。

荷造りの最中、晴美が亡くなって以降、ずっと気まずいままだった義姉と会話を交わします。義姉は、「晴美が死んだのをあんたのせいにして悪かった」と謝ります。そして「すずさんがイヤんならん限り、すずさんの居場所はここ。くだらん気兼ねなぞせんと(北條家を出るかは)自分で決め」と言うのでした。

義姉のこの言葉を受け、しばしの沈黙の後、すずは「やはりここへ居らして貰えますか…」と義姉に寄りかかるのでした。「わかったから、暑苦しいけぇ 離れ!」と照れながら受け入れる義姉。

その瞬間、呉の街に『ごおおおおおおん』という轟音が響き渡り、カミナリのような光が。

慌てて庭に出て外に出たところ、広島市の方向に巨大なキノコ雲が出来ていました。茫然とそれを眺める北條家の面々。ラジオを付けても雑音ばかりで何もわかりません。

例の爆音から数日経過しても、広島市の現状は不明なままでした。広島市に新型爆弾が落とされたとの情報のみ入ってきており、すずの実家が心配されます。

広島市に様子を見に行くという集団に自分も連れて行ってくれと頼みます。長かった髪を切り、邪魔にならないからと頼みますが、けが人は連れて行けないと断られてしまいます。

その後もすずの実家の浦野家の消息はわからずじまいでした。

そして8月15日の正午、政府から重大放送ありとの回覧が周り、すずも北條家の女性陣と共に玉音放送を聞きます。負けた負けた…と納得する周囲に対し、すずは「納得できん!」と珍しく感情を荒らげ、憤りを露わにするのでした。

感想 その1

義姉との和解

義姉の不器用な優しさが伝わってくるシーンでした。素直に謝ることができず、はじめに憎まれ口をたたく義姉はかわいらしく感じました。きっとすずに辛く当たった日からずっと気にかかっていて、謝るきっかけをずっと考えていたのではないでしょうか。右手を失ったすずでも簡単に着られるゴムひもモンペを作ってあげたのがその証拠だと思います。物資不足でゴムひもを見つけるのも容易ではないなか、短いゴムひもをつなぎ合わせて特製モンペを作ってあげた義姉にはとても胸を打たれました。ふたりが仲直りできて、すずが呉に残ると決意してくれてよかったです。

終戦を迎えて

玉音放送を聞き終戦の事実を真摯に受け止める周りの反応とは対照的に、すずは明らかに感情を爆発させていました。終戦を知ったすずは、戦争によって今まで教えられてきた正義が崩壊し、戦争による犠牲の正当性が失われたことに対して怒っていたようでした。いつも穏やかであったすずが見せたこの怒りのシーンはそのまま作者の戦争に対する想いのように伝わってきました。非常に印象的なシーンでした。



ストーリー その2

20年9月

空襲で大きな被害を受けていた呉の街を、大規模な台風が襲います。「神風」は吹くのが1月遅いと笑い合う北條家の面々。

台風のさなか、広島市から郵便が届き、なんと妹のすみが生きていることがわかったのでした。

りんどうの秘密(20年10月)

仕事で占領軍に対する反乱を鎮めに行くという周作。すずは周作の無事を祈りながら見送ります。その際、周作がリンのいた遊郭街まで案内してくれました。遊郭は空襲で瓦礫の山になっており、当然ながらリンの姿もありません。かつてリンとおしゃべりした場所に腰かけ、リンの姿を思い耽るのでした。

晴れそめの怪(20年11月)

呉の街にもアメリカからの占領軍が沢山来ており、街の様子は様変わりしていました。闇市の中でアメリカ兵士にお菓子をねだる子供たちの姿を見て、義姉は下関にいる息子のことを想います。

水鳥の青菜(20年12月)

チョコレートのかけらを晴美の亡くなった場所に備えるすず。

いつも笑顔だった晴美を思い出し、呉の海を見ながら水原の最後の言葉を思い出します。

人待ちの街(21年1月)

広島市のすみの避難先の親戚宅を訪れるすず。すみは外傷こそ無いものの、原爆を受けてから、体調が優れず寝たきりになっていました。原爆の落ちた日、母は広島市に買い物に行っておりそのまま行方不明。生きていた父も10月に体調を崩して亡くなってしまったとのことです。

早く来れなくてごめんと謝るすずに、すみは早く来なくて良かったと言います。原爆の光視症か黒いシミのできた腕を見せながら、「治るのかねえ」と言うすみに、「治らんとおかしいよ」とすずは強く答えるのでした。

親戚宅を離れ、広島市の焼け野原を歩くすず。近くには原爆ドームも。

何度も他人と間違えられます。すず自身も母やリンがいるのではと捜し歩きます。そこへ周作がすずを呼びに来ます。

子供の頃、すずと周作が初めて出会った橋の上で語り合う2人。

すずは「この世界の片隅に うちを見つけてくれてありがとう」と周作に礼を言うのでした。

最終回 しあはせの手紙(21年1月)

戦争孤児となってしまった女の子が、広島駅の前で電車を待っていたすずと周作に出会います。その子を引き取り呉の街に連れていくことを決めた2人。北條家の面々も彼女を暖かく迎え入れるのでした。

―――――完結。

感想 その2

少女との出会い

すずと周作が戦争孤児の少女を北條家に連れて帰ってきますが、北條家の明るい未来が連想される心温まるシーンでした。少女が戦争孤児になるまでのエピソードはとても切なかったですね。当時はこの少女のように親に死なれて路頭に迷った子どもがたくさんいたんだろうなと思います。戦争の理不尽さ、無情さを感じました。

全体を通じて

この物語は主人公すずがこの世界で『自分の居場所』を見つけていくというストーリーでしたね。最初から最後まで読むと一貫したこのテーマが伝わってきます。

すずが絶望の中にあっても、周囲とのやりとりを通じ、自分の居場所を見つけ強く前向きに生きていこうとする姿には心を動かされました。

最終ページに記載がある参考文献の多さには驚かされました。ここまで詳細に史実に基づいて戦時中の『生活』を描ききった作品は無いのではないでしょうか。

この作品の内容について詳しくネタバレを書いたつもりですが、文章だけではこの作品の良さを全く表現できていないと思います!!!

まだ読んでいない方は是非実際に漫画を読んでいただきたいですね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

レクタングル大
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