惣領冬美が描く『マリー・アントワネット』の感想。覆されたルイ16世とアントワネット像に衝撃。

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マリー・アントワネット (KCデラックス モーニング)
マリー・アントワネット (KCデラックス モーニング)

『チェーザレ 破壊の創造者』で本格歴史漫画を描かれている惣領冬美先生の新作を発見。描かれている人物はなんとフランス革命に散った悲劇の王妃マリー・アントワネット。ベルばらからフランス革命史にはまった管理人、これは読むしかないとさっそく購入させて頂きました。

美しい人物描写&背景に感動

さすが、惣領先生!と言いたくなるような絵柄の美しさです。最初数ページのカラーも美しい。今回、史上初となるベルサイユ宮殿監修&全面協力のもと描かれたというだけあって、細部まで史実に基づいた描写がされています。

宮殿内部はもちろん、アントワネットが身に着けるロココの世界が見事なまでに再現されていました。とても細かくて綿密です。

宮廷儀礼の描写も史実に忠実。この辺りを読むと昔の王様たちも大変だな~と驚かされます。謁見者が来るたびに着替えさせられたりと厳しい『しきたり』にがんじがらめにされているんですね。

これまでのマリー・アントワネットのイメージが覆る

そして肝心の内容ですが、最新の研究に基づいて今まで一般的に考えられていたマリーアントワネットとルイ16世のイメージが見事に覆されるんですね。ある意味、歴史の革命的作品かもしれません。

派手好き、浪費家のイメージは創作だった?

マリーアントワネットといえば、派手好きの浪費家で彼女の豪遊がフランス革命の一端になったなんて見方をされているかもしれませんが、そのイメージは当時の新聞や20世紀に書かれた『ツヴァイク』の伝記によるものが大きいようで…最新の研究だとそうとも言えない部分が明らかになっているようです。

この辺りは、惣領冬美先生がご自身のブログ内で説明されているので、読まれるととても勉強になると思います。

この漫画では、マリーアントワネットが夫や子供たちと共に『プチ・トリアノン』というベルサイユからほど近い離宮でのんびりと過ごすシーンから始まります。『プチ・トリアノン』は田舎の田園集落のような造りで、彼女はここで田園生活を楽しみ、最も愛した宮殿といわれているんですね。派手好きなイメージの彼女が、意外にも質素で落ち着いた生活を好んだというのが驚きですね。

身長195㎝!実は高身長だったルイ16世

そして管理人が個人的に最も驚いたのが、ルイ16世の外見と性格!小太りで背が低く、愚鈍で気弱な夫(これまでのイメージがひどすぎる(笑))というイメージを持たれていたルイ16世ですが、最新の史実に従い、195㎝の長身に細身、穏やかで知的な様子に描かれています。

これまた惣領先生のブログが教えてくれましたが、これも過去の創作による影響だそうです。『浪費家の悪妻の尻に敷かれる愚鈍な王』というイメージをつけたかった当時の風刺もあったようで。

これまでのイメージを一新し、この最新の史実に基づいて惣領先生の描くルイ16世がなんとも素敵…。冒頭の『プチ・トリアノン』のシーンなど理想の夫そのものな感じなんですが…。嫁いできたアントワネットと徐々に心を通わせていくエピソードなど本当に心温まりました。

世紀の婚礼、ベルサイユでの生活の様子が明らかに

漫画は、アントワネットが子供にも恵まれ、夫と共に『プチ・トリアノン』で穏やかな時間を過ごす中、過去自分が嫁いできた頃のことを思い出す…と言うふうにストーリーは進んでいきます。

アントワネットとルイ16世が結婚したのは、当時14歳と15歳。今でいえば中学生同士…。まだほんの子供なんですね。彼女が泣く泣く故郷オーストリアを去るシーンは涙を誘います。その後、義理の祖父であるルイ15世や結婚相手ルイ16世との初対面から、当時『世紀の婚礼』と言われた結婚式の様子。ベルサイユでの生活など。アントワネットの視点から驚きや不満が語られるんですね。

いかにも漫画的ですが、アントワネットのセリフが時々現代風になるのも、感情移入しやすくて私は好きな描写です。結婚後まもなく、なかなか打ち解けられない2人。宮廷儀礼について疑問を投げかけるアントワネットに対し、ルイ16世が怒りかっとなって出ていくシーンがあるんですが、『殿下が怒った… これってヤバいっっ!?』と焦るアントワネットが可愛い。

描かれる少女時代のアントワネットは素直で天真爛漫、でも王女としてのプライドはあって…本当に愛すべき存在です。ルイ16世と仲良くしようとあれこれ頑張る描写は少女漫画的要素もあり可愛いんです。

まさかの1巻完結作品!?続編熱望してます

そして1巻読後の衝撃的な事実なんですが、なんとこの作品1巻完結作品なんだそうで!!

アントワネットとルイ16世が徐々に心を通わせ…これからが楽しみってところで終わってしまうんですね…泣。これまた惣領先生のブログ情報によると、もともとこのお仕事は、フランスの出版社から160ページ単発作品の依頼だったということ。4話完結と決まっていたものだったんですね。

ただ…一ファンとして…本当にいつかでいいので続き描いてください。お願いします。と惣領先生及び出版社の方に懇願したいところです。でもこんな素敵な作品を描いてくださって本当にありがとうございます!

ちょうど今、六本木で開かれている『マリー・アントワネット展』と同時期の出版だったので、それとの関連を疑ったのですがどうもそうではない様子。でもこの漫画でよりマリーアントワネットに興味がわいたので、是非行ってみたいですね。

副読本も出版

↓こちら、漫画に続いて出版された『マリー・アントワネットの嘘』という文庫本。表紙は漫画と同じ絵が使われており、漫画の副読本として読むとさらに理解が深まるということで、あわせて読んでみたい作品ですね♪

マリー・アントワネットの嘘
マリー・アントワネットの嘘

アントワネットやルイ16世が長年どういう誤解曲解を受けていたか、その原因や経緯について説明されているそうです。

現在、連載中の漫画『チェーザレ 破壊の創造者』

チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス モーニング)
チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス モーニング)

惣領先生が現在連載中の『チェーザレ 破壊の創造者』、現在11巻まで発売中。マキャヴェッリが『君主論』で、理想の君主として掲げた中世イタリアの貴族、チェーザレ・ボルジアの人生が描かれています。

こちらも史実に基づいて綿密な描写がされているので、歴史好きにはオススメの作品です。

さいごに

★他にもおすすめの漫画作品を紹介しているので、興味がある方はぜひ!

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レクタングル大
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