【エルパソ】メキシコとの国境の町でナショナルボーダーパトロールミュージアムに行ってきた。不法入国の手口に衝撃。

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テキサス州の最西端に位置するエルパソはメキシコとの国境の町。現在国境には鉄製のフェンスが張られていますが、国境沿いをドライブすることもできます。

今回は国境沿いドライブの様子と、国境の町ならではの博物館、ナショナルボーダーパトロールミュージアムについて紹介します。博物館では実際に不法入国で使用された縄梯子などショッキングな展示も多数ありました。

メキシコ国境沿いをドライブ

ダウンタウンからメキシコとの国境線沿いに走る道路ループ375を東に走ると、右手にメキシコとの国境線(ボーダー)を見ることができます(ちょうどダウンタウンからミッショントレイルを目指すと通過することになります)。

本当にギリギリを走ることになるので驚きます。フェンスの奥はもうメキシコなんですね…。ループ375沿いはすべて鉄製のフェンスがされていました。監視カメラの数もすごいです。

 

フェンスの奥でおそらく国境警備隊のパトロ―ル車が行き来。途中、出入り口らしきものもありましたが、封鎖されていました。

 

トランプ大統領の『メキシコとの国境に壁を作る!』発言で紛糾している、メキシコとの国境問題ですが、この様子をみると『すでに結構厳重なんでは…?』って思ってしまいますね(^^;)ボーダー付近で怪しいことしたら、すぐに国境警備隊が飛んできそうな物々しさがありました。

ナショナルボーダーパトロールミュージアム(国境警備隊博物館)

さて、そんな厳重に警備されたなボーダーがあるエルパソのナショナルボーダーパトロールミュージアムNational Border Patrol Museum)ですが、実際にボーダーの様子を見てから行くと臨場感が増すと思います。日本語に訳すと、『国境警備隊博物館』になるでしょうか。

行き方

ダウンタウンから車で20分ほどのところにあります。375番道路沿いにあり、博物館らしからぬ倉庫のような外観なので危うく見逃しそうになります。入口もとってもシンプル。

 

〔地図〕

入場料は無料

なんと入場料は無料ですが、受付で氏名の記載を求められます。記入後は、自由に展示を見て回れます。1日の観光客はそんなに多くなさそう…ゆっくり見て回れますね。

天井には、警備隊関連の旗などがズラリ。それでは展示を見ていきます。

入口にあったボーダー付近の地図。上がアメリカ側、下がメキシコ側ですね。

国境警備隊の制服

この博物館は特にエルパソ地域の警備隊に限った展示ではなく、アメリカ国内全体の国境警備隊について取り扱われています。国境警備隊のユニフォームが展示されていました。

↓こちらは北の国境線を守る警備隊の服装。カナダとの国境線ですかね。スキーもはいたりするんですね。そして隣の写真、右の緑がアメリカ側で左の赤がメキシコ側の警備隊の制服だそうです。相互に協力関係にあるみたいです。

 

国境警備隊の歴史

国境警備隊の始まりから年代ごとに歴史がまとめられていました。始まりは1900年代初頭にまでさかのぼるんですね。昔は馬に乗って見回りが行われていました。

 

時代が進むにつれ、電子機器の導入も進みました。↓1980年代に使用されていた無線の受信機。エルパソで初めて導入されたようです。

不法入国者との闘い①:フェンス越え

この博物館の一番の目玉であり、かなり衝撃的だった展示エリアです。国境警備隊の任務としてはやはり不法入国を防ぐこと。特に近年メキシコ側からの不法入国者の増加が問題になっていますよね。

↓フェンスに縄ばしごをかけ国境を越えるケース。フェンスにはしごが残されている写真もあり、2010年撮影。場所はエルパソの国境です。こういうのは日常茶飯事と書かれていました…。

 

↓写真のバックパックは実際にアリゾナで捕まった不法入国者の荷物のサンプルです。

不法入国者との闘い②:地下トンネル問題

そして次の手口が、ボーダー付近の民家等を利用してつくったトンネル。民家同士で地下にトンネルなんて作られたらなかなか発見なんてできないですよね…。

 

1990年にアリゾナとの国境で初めてトンネルが発見されてから、現在まで180以上のトンネルが発見されていると説明がありました。もちろん重機では掘れないのでスコップなどで掘られたようです。

これらのトンネルは人の移動のためというよりは、麻薬の密輸ルートとして使われることが多いようですが…。ちなみにアリゾナ州のNogalesと言うエリアが最もトンネルが多い!と書かれていました。

不法入国者との闘い③:海から空から…

ボーダーは陸地だけではありません。海から…果ては空からも不法入国しようとする者はいます。

↓実際に不法入国に使用されたボート2隻。左はテキサスのリオグランデ川経由での密入国に使用。この舟に乗るには一人500ドルが必要になるとのこと。

そして右の青いカバーがかかった大きめの船は、1994年に4名のキューバ人難民が自由を求めて入国しようとしたのに使われたもの。半日以上航海してフロリダの地を踏んだ彼らは、逮捕され移民センターに送られたそうです。その後強制送還されたかは不明…。

そして近年増えているというのが、ハングライダー等を使った空からの不法入国。

実物展示であったり、かなり詳細にエピソードが語られているので、いろいろと衝撃を受けたのでした。この他、別室のオーディオルームで不法入国者や麻薬などの密輸品が発見される様子などを記録した映像が見られたりします。

Transportation Check

ホワイトサンズ国定公園付近を通過するときに管理人も出会った『Transportation Check』のジオラマがありました。国境警備隊の管轄なんですね。

道路上でこのポイントに遭遇すると通過する車は強制的にチェックを受けることになります。通過する人や物の動きを確認しているようです。通過にはID(パスポート)が必要なのと、どこから来たのかを質問されます。『Japan!』と堂々と回答すれば大丈夫だろうと…。もしIDが無いとものすごい面倒なことになりそうな雰囲気なので、お気をつけください。

麻薬や武器などの押収品

そして国境警備隊の仕事で、不法入国を防ぐことと並んで重要な任務が…麻薬などの密輸品の発見と押収です。先ほどのTransportation Checkで発覚したりするのでしょうか。車のシートに隠したり、トラックの荷台を上げ底していたりと、ありとあらゆる手段で密輸されようとする品々…。

そして、不法入国者から押収したと思われるナイフや銃などの武器の展示もありました。不法入国者との戦闘の可能性をはらんだ国境警備隊の任務は、常に危険が伴いそうですね…。

 

国境警備隊のヘリや車

国境警備の現場で実際に使われてきたヘリや自動車などの展示があります。映画やドラマで見たことがあるかもしれませんね。

 

アメリカ国内、国境警備隊の分布

当たり前といえば当たり前ですが、内陸の州以外すべての州に国境警備隊の設置されています。州によって抱える問題は異なるのでしょうが、メキシコとの国境を持つエルパソ国境警備隊の担う役割は大きそうです…。

不法入国者や麻薬を発見するため国境警備隊で活躍しているというのが国境警備には欠かせない役割を果たしているんですね。

さいごに

博物館自体は1時間もあればすべての展示を見ることができるでしょう。展示自体は写真や説明パネルが中心のいたってシンプルな博物館なのですが、内容が内容だけにヘビーです。

国境警備の実態がわかる内容になっているので、エルパソに来た際は是非立ち寄ってみてはどうでしょうか。

レクタングル大
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