【ワシントンDC】ウドバーハジーセンター(航空宇宙博物館 別館)徹底ガイド(その2)

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この記事は【ワシントンDC】ウドバーハジーセンター(航空宇宙博物館 別館)徹底ガイド(その1)続きです。博物館概要やスペースシャトル・ディスカバリー号など気になる方はその1を読んでください。

旧日本軍戦闘機7機がズラリ

シャトルの展示室を後にして、再びメイン展示室へ。メインエントランスから中央南側には旧太平洋戦争期、旧日本軍の貴重な戦闘機が7機並んでいます。

↑まずは1機目。日本海軍の夜間戦闘機として使用された月光(げっこう)

↑2機目。特攻専用に開発され使用された桜花(おうか)

特攻機として有名です。管理人も存在だけは知っていました。説明パネルにも『Tokko(Special Attack)』の文字が。隣の月光に比べるとその小ささに驚きます。機体の頭がやけに長いですが、そこに爆弾を積むんだそうです。本当に操縦する人間と爆弾だけを載せて飛ぶために造られたんだな…と重苦しい気持ちに。散ることが前提であることを示したような桜花という名前、機体に描かれた桜のマークも切ないです。

終戦までに桜花に搭乗して亡くなった人は55名。敵の戦艦に体当たりして撃沈させるのが目的とされていたそうですが、多くは敵戦艦にたどり着けないまま撃墜されてしまったということでした。巨大な展示室の中ではとても小さい機体ですが、異様な存在感を放っていました。

桜花のすぐ後ろにあるのが3機目、旧日本軍で初の高速戦闘機として試作された震電(しんでん)。胴体だけの展示でした。

零戦に変わる革新的な飛行機の開発を目指して、九州飛行機により制作されたが試作のまま終戦を迎えたそうです。説明パネルの完成形を見ても「どっちが前?」となるデザインですが、これは前翼型と呼ばれる独特な形状でこれを持つのは旧日本軍戦闘機では初とのこと。

↑手前が4機目は対B29迎撃機として活躍した二式複座戦闘機、屠龍(とりゅう)。こちらも胴体だけの展示でした。

写真奥の機体は5機目、世界初の潜水艦発信型爆撃機である春嵐(せいらん)

↑6機目、戦争末期に開発された初の純国産戦闘機である橘花(きっか)。残念ながら機体の写真を撮り忘れてしまいました。

↑最後の7機目、日本海軍の切り札だった紫電改(しでんかい)。高性能エンジンを搭載し、戦争末期にほとんどの飛行機が特攻に使われる中で、唯一本土決戦用に温存されていた飛行機だそうです。

日本から遠く離れたアメリカの地にこれだけの日本の戦闘機が展示されているとは…ただただ驚きます。これら7機の飛行機をほぼ当時の姿で見れる博物館は世界中どこにもないでしょう。この博物館のすごさがわかります。

広島に原爆を投下したエノラ・ゲイ号

その旧日本軍の戦闘機群の上に覆いかぶさるように配置されているのが、この博物館の中でも重要な展示物となっているエノラ・ゲイ号でした。

↑機体自体の型は『Boeing B29』。かつて日本中の空を飛び回っていた大型の爆撃機です。『エノラ・ゲイ』が『B29』であったことを初めて知りました。戦争当時小学生だった祖母が「B29の音ほど大きくて恐ろしいものはない」言っていたのを思い出します。

4つのプロペラを持つシルバーの巨大な機体は圧倒的な存在感がありました。

↑2階の渡り廊下から見ると、エノラ・ゲイの文字をよく見ることができます。この名前は機長の母親の名前から付けられた言われています。

1945年8月6日広島に初の原子爆弾「リトル・ボーイ」を投下した機体が現実に自分の目の前にあることに衝撃を受けるのでした。

↑エノラ・ゲイの説明についてはこのパネルのみ。内容も機体の性能と、この機体が行った任務が広島の原爆投下であること。長崎への原爆投下において天候観察任務を担った旨の記載しかありません。原爆の被害状況等について一切触れていないことに、違和感を感じる方も少なくないはず…。

気になって調べてみると、衝撃の事実が。もともとは本館に展示し、歴史的背景や原爆の被害状況についても説明したうえで展示がされる予定であったエノラ・ゲイ。しかし、アメリカ軍関係者から抗議の声が相次いだことから、規模を縮小して展示がされることになったとのこと。この結果、当時の館長は辞任に追い込まれたというので騒動の大きさがわかります。

歴史的に重要な機体であることから、破壊活動を防ぐためエノラ・ゲイを間近で見れる渡り廊下には防弾パネルが設置してあり、複数の監視カメラが設置されるなど厳重に保管されています。

ガイドからエノラ・ゲイの説明を直接聞けるガイドツアーにも参加したのでその感想も少し。やはり注目度の高い機体なのか、15名ほどの人が集まりました。日本人は自分たちだけという状況、内容だけに緊張してしまいます。やはり過去の騒動に配慮してなのか、内容は機体の性能の話が中心です。原爆を投下した背景についても触れていましたは、戦争の早期解決のため…との説明のみ。日本人として複雑な気持ちになってしまうのでした。ガイドツアーは20分ほどの説明で終了。ツアーの最後には実際にB29に乗っていたという退役軍人の方が登場し質疑応答に応えていました。

戦争と平和について考えさせられた貴重な時間でした。

夢の超音速旅客機コンコルド

↑2階の渡り廊下から南側展示階を見下ろした風景。巨大旅客機から軍用機がところせましと展示されています。

↑こちらは有名な超音速旅客機コンコルド。旅客機なのに音速。そのスピードに世界各国から多くの注目が集まりましたが、燃費の悪さと座席数の少なさからあまり商業的には向かなかったんだとか。

↑最速の飛行技術を競うレッドブル・エアレースで使われた飛行機の展示もありました。

 

充実した展示の秘密は…

↑別館には修理工場が隣接しており、2階から見学できました。展示されていた航空機たちはここで修理されて展示室へ行っているんですね。現在も何か機体を修理中でした。

さいごに

国立航空宇宙博物館別館は本館と合わせて是非とも訪れてほしいスポットです。

展示物1つ1つのインパクトは本館を遙かにしのぐ満足感でした。個人的には本館よりもオススメかもしれません!アクセスが悪いのが難ですが、しっかり調べていけばそんなに難しくはありません。展示物の場所や内容は時期により変更になることが多いので、事前に公式HPで確認されたほうが良いと思います。

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