昭和元禄落語心中・番外編後編(BE・LOVE2月号)信之助、渾身の『死神』!冥途の夢先案内人は八代目八雲?それとも…?【ネタバレ注意】

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昭和元禄落語心中 番外編 後編
著者:雲田はるこ
掲載誌:BE ・LOVE2月号(2019年)掲載
出版社:講談社

2年ぶりの新作!前編に続いて後編がBE ・LOVE2月号に掲載されました。

前半のストーリーと感想はこちらからどうぞ。

昭和元禄落語心中・番外編前編(BE・LOVE1月号)最終回のその後…自分の『死神』を模索する信之助の前に現れたのは!?【ネタバレ注意】
昭和元禄落語心中 番外編 前編 著者:雲田はるこ 掲載誌:BE ・LOVE1月号(2019年)掲載 出版社:講談社 最終...

ストーリー(ネタバレ注意)

案内する、という八代目の誘いに従い、両端にろうそくがともされた橋を進んでいく。

私は死んでしまったんでしょうか』と白い腕に引っ張られてここに来てしまった経緯を信之助が尋ねると、『そりゃ 「死神」を呼んじまったんだ』と八代目。

死神は死にたいと言っている奴のところにやってくる、信之助が死にたくて身投げをしたわけじゃないなら、頼めばすぐに戻られてくれるだろうと言った。

その前に冥途見物をさせてやろうと、八代目が連れてきたのは神社の鳥居。

その奥には寿命のろうそくの部屋があった。

ろうそくにはひとつひとつ名前が付いていて、それが寿命を表しているのだ。

八代目が信之助たち家族のろうそくのところに連れて来る。

小雪や父も母もろうそくが元気に燃えているのも見て安心するも、松田さんのろうそくが短いことに涙目になる…

そしてその隣にはすでに消えてしまった八代目のろうそくが残っていた。それは寿命を全うしたため短い。

火が消えてからだいぶ経つが、弟子が追善をしてくれるためまだここにあるのだという。

皆から忘れ去られたとき、ここから無くなり、その時にひとは本当に死ぬんだ、と八代目。

祖父、八代目と幼いときの交流を思い出し、泣きながら八代目に抱き着く信之助。

大丈夫だよ 僕 じいじの落語 絶対に忘れない

自分には子供も孫もいやしない、という八代目だが、

だけど不思議だね お前さんは他人の気がしないよ 

血の繋がりなんかあっても無くても関係ない 落語で繋がりゃ 皆家族だ

と笑顔になった。

その瞬間…カカンッと扇子の音が鳴り

はっと我に帰る信之助、目の前には九代目八雲を襲名した与太郎の姿が。

信之助はやはりあのとき川に落ちており、幸い軽症ですんだもののその後大風邪をひいて寝込んでいた。今は体調も戻り、こうやって師匠の前に出てきているが…

師匠の前で恐縮する信之助。

そして意を決して、「死神」の稽古をしてほしいと申し出る。

ん…?と怪訝な表情の九代目。まだ自分には早すぎたか…とヒヤヒヤする信之助。

『どうして「死神」をやりたいのか』と九代目が尋ねる。

信之助:松田さんに私の死神を見てほしいからです

九代目:そうか。そりゃ何よりの理由だな。

二ツ目なのだからやりたいものは自分で決めていい、まだ早いという声もあり悔しい想いをするかもしれないが、その気持ちも落語をやるときに役立つぞ、と励ましの言葉をかけてくれた。

縁側に座って将棋を楽しむ、九代目と小夏夫妻。

信之助が「死神」を教えてほしいと言ってきたことを嬉しそうに報告する。

信之助が自発的に噺を覚えたいと言ってきたのは初めてらしい。

信之助は八代目と声が似ているとよく言われるといい、『師匠に似てるね、と褒められるなんざ…噺家にとってこれほど嬉しいことはねえんだ』と笑顔の九代目。

その様子をみて、『相変わらずの八雲バカ』と小夏。

いくつになっても夫婦仲は円満なようで。

そしてついに、信之助が「死神」に挑戦する春の親子会の日がやってきた。

演席には、小雪と一緒に松田さんの姿もある。

信之助の「死神」がはじまった。

信之助の前には、死神が現れるがその姿は、かつて冥途見物をさせてくれた八代目の姿をしている…

とりつかれたように死神をやる信之助の姿を見ながら、「あの野郎 見えてるのかもしれねぇな』と面白そうに呟く九代目。

あのとき信之助が見たものは、八代目の姿を借りた死神だったのかもしれない

寿命のろうそくの部屋はただの夢だったのか、真実は何もかも闇の中だが、死神のネタは信之助の落語人生の中で、老齢になるまで大切なものになったのだった。

~完結~

感想

ふぅ~、読了後のこの満足感…。さすが、昭和元禄落語心中って感じです。

平成最後に読めてよかった。

実は、冥途の案内人は八代目の姿を借りた死神だったのかも!?という解釈は面白いですね。

真偽のほどは別として、その不思議な体験を通して何かをつかんだ信之助。

ラストの信之助がやる「死神」のシーンは圧巻なので是非見てほしいです!

髪をあげているからか、若き日の助六を彷彿とさせてくれます!

信之助が「死神」をやりたい理由に『松田さんにみせてあげたいから』というのもまたよいですね。それが叶って本当によかった!

信之助の「死神」のシーンを読んで、改めて単行本を読み直して助六・八代目・与太郎、信之助4人の「死神」を読み比べてみたいな~と思いました。それぞれの個性とかが反映されているに違いない…

八代目が信之助にいった『血の繋がりは関係ない 落語でつながれば皆家族』という言葉に感動しました。落語と心中しようとしていた人から最後にこういった言葉が聞けてよかったですね。

信之助の父親の名前など…真実は伏せられたままですが、謎は謎のまま、読者の解釈にゆだねられたところもまたよかったのではと思います。

未来に向かって、受け継がれていく落語の精神が伝わってきました。

雲田はるこ先生のTwitterよると、こちらの番外編単行本化の予定はない…とのことなので(><)読みたい方は是非是非BE ・LOVE本誌をご購入ください(電子書籍で購入できますよ~♪)!

レクタングル大
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