ミネアポリス中心地から少し外れた場所にあるミネアポリス美術館(Minneapolis Institute of Art)。アッパーミッドウエスト(中西部北部)最大の美術館で、8万点以上もの美術品を収蔵する世界的にも有名な美術館です。1974年の増築は世界的に有名な建築家・丹下健三が手掛けています。
収蔵作品はアジア美術、ヨーロッパ絵画、アメリカ美術、エジプト美術など多岐に渡ります。印象派の巨匠達の作品も数多く、印象派好きの管理人にはとても楽しい時間となりました。
そしてなんとこれだけの規模で入場料見無料!1日ゆっくり楽しめる美術館です。
行き方
車で行く:駐車場は最初の1時間は5ドル、それから1時間超過ごとに+1ドル、一日最大12ドルでした。6時間居ても10ドルで済みますのでかなりリーズナブルですね。
なお、滞在時間が短い人は美術館前に路上駐車しても良いかもしれません。かなり混んでいましたが、2時間まで無料で停めることができました。
バスで行く:Metro Transit(バス)の#11、#18で行くことができます。
もともとミネアポリス屈指の高級住宅街であったところに美術館はあります。
チケット・営業時間
チケット:常設展は無料です!これだけ充実していて無料なのは衝撃的でした。ちなみに常設以外の展覧会は別途入場料は必要となります。
営業時間:火曜~土曜(10時~17時)、日曜(11時~17時)、月曜は休館日です。なお、7/4, サンクスギビング、クリスマス等は休館のようです。
アジア美術の見どころ
実は『アメリカでもっとも良質で包括的』と評されているミネアポリス美術館の東アジア美術!その評価のとおり、本当に見応えある作品の数々でした。
日本美術:襖絵
アメリカでこんな立派な狩野派の襖絵を観ることができるとは!下写真右側は狩野山雪の群仙図襖絵です。かつては妙心寺で老梅図襖絵と表裏を成していた由緒正しい名作です。現在は群仙図はここミネアポリス美術館、老梅図はメトロポリタン美術館に収蔵されています。
浮世絵
歌川豊国作の浮世絵がありました。宮参結神垣という『歌舞伎での澤村宗十郎』の絵です。浮世絵は多数収蔵しており、葛飾北斎の『凱風快晴』もあるそうですが、訪問時は残念ながら展示していないとのことでした。
仏像
日本にあったら重要文化財なんだろうな…と思ってしまう仏像がたくさんありました。
仏像作品の中でもとくに素晴らしいのが鎌倉時代に作成された『大威徳妙王像木造』です。牛の背にまたがる威厳ある大威徳明王、恥ずかしながら仏像彫刻について詳しい知識のない管理人ですが、文句なしに『なんてかっこいいのだ!』と圧倒されてしまいました。
中国美術
もちろん日本美術だけでなく、中国やインド美術などの展示も素晴らしいです。
↓こちらは中国の文人の居室がそのまま再現された居室。大規模展示も多いです。
レンブラントのルクレチア
この美術館で最も有名と言われているのが、レンブラント・ファン・レインの1666年の油絵作品『ルクレチア(Lucretia)』です!
レンブラント晩年の傑作で、明暗描写が見事です。文句なしの傑作ですが、平日の昼間で観賞客もまばら。しっかり観賞することができました。
19世紀印象派絵画
管理人が大好きな印象派絵画もたくさんあったのでご紹介します。
↓個人的にミネアポリス美術館で一番好きな展示室!空いている時間帯はこの空間を独り占めできちゃいます。なんて贅沢!
ゴッホ:Olive Trees
ゴッホは1889年5月からフランスのサン=レミにある療養所に入所することになりますが、このサン=レミ時代にゴッホ特有の力強いうねりを感じる筆跡の作品が数多く創作されることになります。
こちらの作品はゴッホが1889年6月~12月の間に描いたオリーブ畑15作品の一つです。活気ある黄色とオレンジ色から美しい秋の様子が伝わってきます。
モネ:The Japanese Bridge, Grainstack
こちらはモネが晩年を過ごしたジベルニーにある彼の庭園にある日本式の橋を描いた作品です。太い線を重ねた彩り豊かな筆さばきは流石です。写実的とは対極の抽象的な作品ですが、一説によるとモネは目が悪くなっていたそうで、それが影響していたのかもしれません。
こちらはジベルニー近郊にあった穀物保管庫を描いた作品です。秋の夜明けに輝く美しい景色を楽しむことができます。近くで見ると数々の色の筆跡が見れますが、遠くから見るとそれらが上手に調和し、柔らかく輝いているように見えます。
ルノワール:Head of a Young Woman ,The Piazza San Marco
少女の後頭部を描いた作品です。ルノワールは少女を題材にした作品を多数残していますが、本作は特にあどけなさが強調されているように思います。一方で服装は大人びているというか、なんともアンバランスな印象を受けました。
日中にまばゆく輝くサンマルコ広場が描かれています。1881年にイタリアの巨匠、ラファエロの作品を見に行った際に描いたそうです。描くものによって抽象度が異なるのが面白いですね。大聖堂は比較的写実的に、広場のすずめはかなり抽象的に。色彩がとても美しく、管理人もお気に入りの作品です。
ゴーギャン:Under the Pandanus, Tahitian Landscape
パリの文明社会に疲れ、晩年はタヒチで創作活動を行ったゴーギャン1891年の作品です。パンダナスの木の下で働く女性たちの姿が活き活きと描かれていますね。
1891年の作品、タヒチの美しい自然を描いた風景画です。ゴーギャンも毎日このタヒチの雄大な自然に囲まれてスローライフを楽しんだのでしょうか…
20世紀西洋絵画
シャガール:The Poet with the Birds
『愛の画家』と呼ばれるシャガールの1911年の作品です。タイトルは『詩人と鳥』。青空の下、木々には白い鳥がさえずり、草の上に寝ころぶのは一人の詩人。童話の世界のようななんともロマンチックな作品ですよね。
マティス:Three Bathers
『色彩の魔術師』と呼ばれたマティスによる『水浴する3人の女性』1907年の作品です。マティスの水浴はセントルイス美術館でも観ることができました。
ピカソ:Woman by the Sea
言わずとしれた20世紀絵画の巨匠、ピカソ1922年の作品、『海辺の女性』。この作品はなんとミロのヴィーナスの影響を受けて描かれているものらしいです。陰影が印象的な作品ですね。
ダリ:The Portrait of Juan de Pareja
シュレアリズム(超現実主義)の巨匠、ダリの作品です。ベラスケスの弟子、パレハ(Pareja)の肖像画だそうです。う~ん解釈が難しい!笑
本作品にはベラスケスの作品、ラスメニーナスに登場する人物が登場しています。1つは階段を登る宮殿高官が左側に描かれています。もうひとつはマルガリータ王女とその世話役の女官で、こちらはパレハの髭を表現しているそうです。
解釈の非常に難しい絵ですが、引き込まれる魅力があります。
アメリカンアート
アメリカの美術館ですから、もちろんアメリカンアートも充実しています。
こちらの椅子、すごい存在感だったので思わずシャッターを切っていました(笑)。まさにカウボーイが座るに相応しい椅子といえますよね!
お気に入りの一枚です。アメリカ西部の広大な自然がポップアートに!
現代アート
現代アートもかなりの展示数があります。お子様も喜ぶような展示が多かったのでおすすめです。
↓日本人アーティスト、村上隆さんの作品もありました。すごい存在感でしたよ!村上隆さんといえば、高級ブランドヴィトンとコラボしたことで世界的にも有名ですよね。
さいごに
1日ゆっくり過ごしても足りないくらい充実した展示でした。これで入場無料とは、ミネアポリスは本当にすごい街だなぁと。毎年全米住みたい街ランキングの上位に食い込むのも納得です。住んでる街にこんなすごい美術館があったら誇りですよね。
ミネアポリスを訪れたら必見のスポットです。