ヒューストン中心部のミュージアムディストリクト内にあるヒューストン美術館(The Museum of Fine Arts, Houston)。本館と別館で6万点もの美術品を収蔵するアメリカでも有数の規模を誇る美術館です。
特に20世紀初期の印象派と後期印象派が素晴らしく必見。東アジアコーナーも充実しています。現代アート作品は特徴的な設計の別館に収蔵されています。
↓落ち着いた雰囲気の本館の常設展示室
Contents
行き方
美術館はミュージアムディストリクトと呼ばれる広大な公園の中にあります。その他、ヒューストン動物園や科学館などがあり、市民の憩いの場となっています。
市内を走るメトロレイルのレッドラインでもアクセス可能で、ダウンタウンから10分ほど、『Museum District』駅で下車してください。
●車で行かれる方へ~駐車場情報はこちらの記事で紹介しているのでご覧ください。
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チケット:シティパスがおすすめ
大人15ドル、シニア(65以上)10ドル、中高生(13~18歳)7.5ドル、子ども(12歳以下)無料です。ちなみに、木曜は無料開放で、土日に行けば中高生が無料になります。
ジョンソン宇宙センターや自然科学博物館など、ヒューストンを観光する人にはシティパスがおすすめ!大人59ドル、小人49ドルなので、3箇所以上行く人は絶対にお得です。
★シティパスで一緒に回れる!ジョンソン宇宙センターの記事はこちら♪
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本館見どころ
クロード・モネ
モネといえば『睡蓮』ですよね。ヒューストン美術館でも鑑賞することができます。
“Water Lilies”.1907
200点以上存在するモネの『睡蓮』ですが、こちらは1909年のパリの展覧会にて同時発表された48点の睡蓮のうちの1つです。
“The Japanese Footbrige”.1922
日本風の橋が描かれるモネ最晩年の代表作の一つです。もはや橋の姿を捉えるのが難しいほど橋の姿が抽象化されています。
“The Windmill on the Onbekende Gracht ,Amsterdam “.1874
モネが描くアムステルダムの波止場の風景です。奥には染料を作る風車が描かれます。活気ある色使いと濃淡ある筆使いで港町アムステルダムが表現されていますね。
メアリー・カサット
アメリカ出身でフランスで活躍した印象派を代表する女性画家のメアリー・カサットの作品もありました。日本ではあまり知名度は無いかもしれません。管理人も、ワシントンのナショナルギャラリーで見たカサットの作品がとても素敵で以来大好きになりました。
“Susan Comforting the Baby”.1881
子供をあやす女性の優しげな表情が印象的な一枚。カサットの描く小さい子供の表情はとても愛らしく、女性特有の表現なのかなと思ってしまします。
フィンセント・ファン・ゴッホ
ゴッホの作品にも2つ出会うことができました。
“Cottage”.1885
ゴッホは田舎の農家や農夫たちをモチーフにした作品をこの時期(1880年前半)多く残しました。農民画家として有名なミレーの影響を多く受けていると言われています。
“The Rocks”.1888
日本では『岩とオークの木』と呼ばれるこの作品。ゴッホが死の2年前に過ごしていたアルルの風景です。滑らかな岩肌、乾いた花たちの様子がゴッホ独特の筆遣いで表現されています。
ポール・ゴーギャン
一時期、ゴッホと共同生活を送っていたことでも有名なゴーギャン。フランスでの生活に疲れ、出会ったのがタヒチでした。美しい色彩が際立ちます。
“Arearea Ⅱ”.1894
”Arearea”とはポリネシア語で『喜び』という意味です。
“Still Life with Mangoes and a Hibiscus Flowers “.1887
ゴーギャンの静物画。南国の風景を描くイメージのゴーギャンらしく、描かれている物たちもマンゴーにハイビスカスと南国風です。
ポール・セザンヌ
近代絵画の父と評されるセザンヌの風景画です。迫力ある渓谷の姿が描かれています。
“Bottom of the Ravine”.1879
オーギュスト・ルノワール
同じく印象派のモネが風景を多く描いたのと対照的に、彼は人間に魅せられ多くの子供や女性の絵を残しています。
“Girl Reading”.1890
ルノワール特有の繊細な筆遣いでモデルである少女の柔らかさや温かさが伝わってきます。彼の作品は艶やかな大人の女性だけでなく、本作品のように少女を描いた作品も素晴らしいですね。
“Still Life with Bouquet”.1871
花束の後ろには中国風の壺とうちわが描かれていますね。ルノワール初期にはこういったシノワズリの影響がみられる作品が多く残されています。後ろにある絵はマネがベラスケスの絵を模写したもの。ベラスケス×マネ×ルノワール、まさに巨匠たちのコラボ作品!(笑)
フランシスコ・デ・ゴヤ
ベラスケスとともにスペイン最大の画家と評されるフランシスコ・デ・ゴヤ。
“Still Life with Golden Bream”.1808-12
ゴヤの静物画はとても珍しいそうです。そして対象物は死んだ魚5匹!ゴヤの描くものは目が特徴的(恐い)なのですぐ気が付きます(笑)
モディリアーニ
イタリア人画家モディリアーニ。モディリアーニらしい顔と首が異様に長いプロポーションが印象的ですね。
”Leopold Zborowski”,1916
この作品のモデルはポーランド人の詩人で、モディリアーニのパトロン的存在であったそうです。
彼自身は貧乏だったため、モディリアーニの金銭援助によって大きな借金を抱えてしまいまました。その結果、彼の死後、彼が収集していたモディリアーニ作品はこの作品も含めすべて売却されてしまったそうです。
マルク・シャガール
恋人たちの絵を多く描いたことから愛の画家とも呼ばれるマルク・シャガール。日本にもファンは多いですよね。
“The Woman and the Roses “.1929
シャガール・ブルーといわれるきれいなブルーが美しい作品。描かれている女性のモデルはシャガールの妻であったベラさん。
彼女が手に持っているのは扇ですね。シャガール大好きなのでこの作品があるだけでも、ここに来たかいがあったと感激しました!
パブロ・ピカソ
ヒューストン美術館ではたくさんのピカソ作品に出合うことができました。
“Woman with a Large Hat “.1962
モデルはピカソの2人目の婦人であるジャクリーン。
“The Rower “.1910
“Two Women in Front of a Window “.1927
アンリ・マティス
フォービズムの代表的な画家、マティス。自然をこよなく愛し色彩の魔術師とも呼ばれました。
“Woman in a Purple Coat “.1937
”The Song ”.1938
中世キリスト教絵画など
印象派だけでなく、中世キリスト教絵画~ルネッサンスの収蔵も豊富です。
↓ルネサンスの巨匠、ボッティチェリの作品もありました。
ベルギー絵画
近年日本でも絵画展が開催され人気が高まっているベルギー絵画。少し不気味で幻想的、独特な世界観に惹かれるファンも多いとか。
この作品は16世紀にヒエロニムス工房により制作されたもの。幼き姿のキリストを背負った聖者クリストファーが罪深き世界を行く姿を表現しているようです。う~ん独特!笑
別館
別館では主に現代美術が鑑賞できます。本館からは地下から幻想的な光のトンネルをくぐって行くことができます。このトンネルも現代アート作品の1つなんです。
世界の国旗が掲げられている広々としたホール。これも現代アートの一つなんでしょうか。
↓現代アートの巨匠、アンディ・ウォーホールのポートレートもありました。
現代アートの他、日本美術を含む東アジア美術の作品を鑑賞できるエリアもありました。そこまで規模は大きくないですが、アメリカで日本の風を感じられる貴重な機会です。
さいごに
とにかく印象派の収蔵が素晴らしいので、印象派好きな方はぜひ足を運んでみてください。アメリカのいわゆる地方都市の美術館のレベルの高さには本当に驚かされます!