2001年9月11日にNYで起きた同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンター。現在、その跡地(グラウンド・ゼロ)に建設された9.11メモリアルパーク・ミュージアム(9.11記念博物館)を訪問しました。
予約方法や展示内容について詳しくご紹介します。
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アクセスや予約方法など
マンハッタン島の南側に位置する9.11メモリアルパーク。周辺には地下鉄の駅が複数あるので公共交通機関の利用がおすすめです。駅から徒歩数分で到着できます。
メモリアルパークは自由に出入りできますが、ミュージアムは事前予約購入が必要なため、こちらの公式HP(日本語変換あり)から日時指定して予約しましょう。クレジットカード決済が必要になります。料金は大人1人24ドルです(シニア・青少年への割引あり)。別途追加料金でガイド付きツアーの予約も可能なので詳しくは公式HPを参照してください。
予約が完了したら、予約票を印刷して当日持参してください。入場の際にパスポートの提示を求められる場合もあるので、パスポートも持参してください。
定休日等は特になく1年中見学が可能です。通常、ほとんどの博物館美術館が休館するサンクスギビングもミュージアムはオープンしていました。
展示内容は非常に多く、ミュージアム内だけでも滞在時間は3~4時間ほどみておいた方が良いです。
9.11メモリアルパーク
グラウンドゼロに再建設されたメモリアルパークは、2983名のテロ犠牲者の冥福を祈ると同時に犠牲者のことを忘れ無い為に作られた慰霊のためのパーク。
2014年にミュージアムが開館するまでは予約制で入場制限がありましたは、現在ではだれでも立ち入ることができるエリアです。
リフレクティングプール
崩壊したツインタワーとちょうど同位置に建設された2つのプール、リフレクティングプールと呼ばれ、ノースプールとサウスプールがあります。
このプールの縁には2983名の犠牲者の名前が1人ずつ彫られており、名前はアルファベット順ではなく、犠牲になった場所、日時などで慎重に配置が決められたどうです。この日も名前のところに星条旗や花が飾られていました。
ワン・ワールドトレードセンター
パーク周辺の再開発により、2014年に完成した高さ541mの『ワン・ワールドトレードレセンター(One World Trade Center)』。ひと際目立つ存在感ですね。メモリアルパークの隣にあります。
9.11メモリアルミュージアム内部
公式にオープンしたのは2014年5月。かなりモダンな造りです。
入場ゲート:セキュリティチェックあり
入場ゲートでセキュリティチェックがあります(空港レベル)。飲食物の持ち込みは大丈夫でしたが、なるべく軽装で行きましょう。
↓地下の展示エリアへと続く階段のそばに展示されているのは、崩壊したワールドトレードセンターの下部に設置されていた『三又のほこ』。
↓かつてのワールドトレードセンター(ツインタワー)の姿。数多くの映画やドラマに登場し、NYのランドマーク的な存在でした。
入場ゲートから地下の展示エリアへ
展示は地下から始まります。地上が入り口で、展示が地下に続いて行くという設計は、飛行機激突後ビルの階段を 下りながら避難した人々の気持ちや様子を伝えるために考えられたものなんだそうです。
館内にはフリーWiFiもありました。無料のアプリをダウンロード可能で、日本語の解説を聞くことができます。
↓ここから展示は始まっていきます。あの日の飛行機の飛行ルートが視覚的にみれます。
↓『あの日の青空は美しく晴れ渡っていた。』2011年9月11日午前8時30分のNYの様子。
↓炎上するツインタワーを見上げる当時のNY市民の映像が流れています。あまりの衝撃に悲鳴をあげ泣き崩れる人の様子も。
ツインタワーとミュージアムの位置関係
写真の右が倒壊前のタワーの配置。左が現在の配置。ツインタワーの間にミュージアムが位置しているのがわかります。
↓写真左の壁も倒壊したタワーの一部。
生還者の階段
展示はさらに最下層のフロアへ続き、有名な『生還者の階段』の隣に設置された階段で下へ。
この『生還者の階段』と呼ばれる階段はちょうどタワーのロビーから外に出る場所にあり、ここまでたどりつけた人は生還でき、生と死の境目となったことからそう呼ばれるようになったそうです。
下から見あげた『生還者の階段』。ここを当時人々はどんな気持ちで降りたのだろうか…
ワールドトレードセンターの鉄骨
最下層のフロアでひと際目を引くのが、様々なメッセージが描かれた赤茶けた巨大な鉄骨。タワー倒壊後も残り、9.11の後、グラウンド・ゼロの復旧にあたった人々の思いが書き込まれ、復興のシンボル的存在に。
グラウンドゼロに最後まで残っていたため、「最後の柱」と呼ばれています。最終的にまたミュージアムの展示物として戻ってきたんですね…。当時の様子を説明するパネルも。
犠牲者を悼むモニュメント
美しい青色のモニュメント。最下層フロアのメモリアルホールにあります。この美しい青色は、9.11あの日のNYの美しかった青空を表しているそうです。
刻まれている言葉は、古代ローマの詩人ウェルギリウスの言葉。
『No Day Shall Erase You From Memory( いかなる日も、あなたを時の記憶から消し去ることはない )』
↓下のパッチワーク作品は、犠牲者を悼んで手作りされたもの。キルト1枚が1人の犠牲者を表しており、ハイジャックされた飛行機の犠牲者の方のキルトも。
すべての犠牲者の顔写真が並ぶ部屋
ここからは、写真撮影禁止のエリアになります。
最下層フロアの一番奥まった所にある部屋には、同時多発テロで亡くなった2983名すべての方の顔写真が並んでいます。これだけで胸がいっぱいになってしまうのでした…。至る所にティッシュが置かれています。
電子パネルが置かれてあり、犠牲者の方の情報が名前や国籍、勤務先などから検索できるようになっていました。飛行機が突入したフロアの上階には日本企業の入居が多く、日本人の方も多く犠牲になっています。
犠牲者の方の写真の他、遺族の方が寄付された遺品なども展示してありました。
9.11あの日何が起こったか…時系列順に辿る展示
同じく、写真撮影禁止となっているメインの展示。ニューヨーカーにとって最も長かったと言われる2001年9月11日の様子を時系列順に追っていく展示がされています。
あの日の朝のニュース映像や、まさに2機目が激突した瞬間の衝撃的な映像。当時の緊迫した現場の様子などが、映像や写真、音声から生生しく伝わってくるのでした。
行方不明の家族や友人を探す人々の張り紙や、生存者を助けるためにタワー内に入り命を落とした消防士たちの遺品など。それぞれのバックストーリーも詳細に語られます。
火事に耐えきれずタワーから飛び降りようとする男性、倒壊の粉塵に巻き込まれ真っ白になってしまった女性の写真など衝撃的なものもありました。
事故に巻き込まれた人々が助けを求める電話での音声も多数残っています。中でも、死を覚悟しながらも家族に愛を伝えた男性の最期のボイスメッセージは聞いていて辛くなるものでした。
あまり知られていないかもしれませんが、ハイジャックされた飛行機の乗客たちが犯人に立ち向かいテロを未然に防ぎながらも、飛行機の墜落により全員亡くなってしまったというユナイテッド航空93便。これについても詳細な展示がなされていました。
そしてハイジャックの犯人たちについても詳細な展示が。アメリカ入国から、飛行訓練。9.11当日空港のセキュリティゲートを抜ける犯人たちの防犯カメラの映像までありました。
展示は本当に多岐にわたり、見ていて息の詰まるものばかりですが、当時の様子をありのままに伝えてくれます。
跡地の再開発の軌跡を辿れるシアター上映あり
同じく、最下層フロアにはシアター上映(映像約15分)もあります。グラウンドゼロの再開発が着手された2004年から完了した2014年まで、再開発の様子を早回しで見ることができます。シアター内は上左右に映像が映し出されるようになっており、復興の軌跡をダイナミックな映像を見ることができます。少し混雑して待つ場合がありますが、観賞をおすすめします。
↓跡地に掲げられた星条旗。
ギフトショップあり
メモリアルミュージアムにギフトショップを置くのはどうか…と批判もあったそうですが、ミュージアム内にはギフトショップもあります。
平和を祈る落ち着いたデザインの商品が多かったですね。ミュージアムのロゴが入ったTシャツやマグ。NYの消防士さんの写真集、ポスター等もありました。
↓ギフトショップ付近にある、かつてツインタワーの中央に設置されていた巨大モニュメントと同デザインのオブジェ。
夜の9.11メモリアルパーク
ミュージアムを出るともう外は真っ暗になっていました。昼間とは全く違う雰囲気。夜のメモリアルパークはライトアップにより幻想的な雰囲気が漂っていました。
ミュージアムの隣にあった建設中のモール兼地下鉄の駅。存在感がすごかったです。
さいごに
日本人の方も亡くなられており、三千人近いの犠牲者を出した悲惨なテロがあった現場です。観光気分で行くような場所ではないとだけ言いたいですが、多くのことを考えさせられる場所。ある意味、今回のNY滞在で一番記憶に残っている場所なのでした。細部までつくりこまれた展示は圧巻で、ありのままを伝えてくれます。NYに来たら一度は訪れてほしい場所です。