【ニューオリンズ】ニューオリンズ州立博物館の展示を紹介。カビルドにあるナポレオンのデスマスクは必見。

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フレンチクオーターの中心、ジャクソン広場の目の前にある2つの博物館についてご紹介します。

広場から見て左側がカビルド(The Cabildo)という博物館で右側がThe Presbytere。外観が似ており双子のような博物館ですが、どちらもルイジアナ州立博物館(Louisiana State Museum)です。

↓写真手前の建物がThe Cabildo、大聖堂を挟んで奥がThe Presbytere。どちらもフランス語名。The Presbytereは司祭館と訳されます。

The CABILDOはフランスとアメリカの間でルイジアナ買収の締結がなされたという歴史的な建物(1795年建設)。現在はルイジアナの歴史を学べる歴史博物館になっています。

そしてこのカビルドと似せて隣に建設されたのがThe PRESBYTERE。こちらの1階では2005年にルイジアナを襲った未曽有の大災害ハリケーン・カトリーナの被害について、2階では毎年ニューオリンズで開催される全米最大のお祭りマルディグラについて展示があります。

★歴史が苦手という方であれば、The CABILDOではなくThe PRESBYTEREのほうがおすすめです。

行き方や入場料金など

ジャクソン広場の目の前なので、セントルイス大聖堂や広場周辺の散策と併せて行ってみてください。

入場料金はどちらも大人1人6ドル(12歳以下無料)。気軽に入れる規模感なのが良いですね。1館あたり1時間半~2時間もあれば見学可能だと思います。チケットはそれぞれ中の受付で購入できます。

月曜定休日開館時間は10:00~16:30(最終入場16時)までと決して長くないので日中早めに足を運びましょう。

※The Presbytereは大聖堂を挟んだカビルドの隣にあるため地図は省略。

カビルド展示の内容

エントランス

歴史博物館としてのカビルド。入口には米英戦争におけるニューオリンズの戦闘で実際に使用された大砲が設置されています。

 

実際、博物館内ではニューオリンズの戦闘(Battle of New Orleans)についてもかなり詳しく展示があります。ニューオリンズの戦闘は米英戦争末期の1814から15年にかけての戦闘で結果はアメリカ側の大勝利。この功績で司令官だったアンドリュー・ジャクソンは第7第大統領に就任しています。ジャクソン広場中心にある銅像の方ですね!

 

エントランスにある受付でチケットを購入して中へ入りましょう。

1階展示見どころ:ナポレオンのデスマスク

当時の内装を活かす展示室で暖炉等も残されています。展示フロアは3階まであり、石器時代まで遡ってこの地域の人々の生活を知ることができます。その後、フロンティア開拓からフランス・スペイン植民地時代まで展示が続きます。

1階の見どころとしては、フランスから送られたナポレオンのデスマスクの展示でしょうか。ナポレオンの死の直後に製作されたいくつかのデスマスクのうちの1つが数奇な運命をたどり、ここニューオリンズに。この博物館の一番の目玉といっていい展示でしょう。

2階展示見どころ:カビルドのバルコニー

歴史ある階段を上って上階の展示へ。絵画などもたくさん飾られています。2階にある日当たりの良いバルコニーが素敵でした。2階は主にニューオリンズの戦闘についての展示。当時の戦争の様子が学べます。

 

バルコニーからジャクソン広場を臨む。

3階展示見どころ:奴隷売買の歴史から南北戦争

3階では主に19世紀の人々の生活について焦点が当たっています。この時期のルイジアナの経済はプランテーションを抜きには語ることができません。1860年の調査によると人口の半数が黒人奴隷であったと言われています。

↓この地域で盛んだったプランテーション作物はサトウキビ栽培。サトウキビの圧搾に使用された木製の機械が展示。その他、当時の奴隷オークションの様子など。

 

ニューオリンズの郊外には、観光用に当時のプランテーションの施設が公開されており、ツアーも催行されています。詳しくはこちらの記事をどうぞ。
【ニューオーリンズ】プランテーションツアーでかつての南部の繁栄と奴隷労働の実態を知る。樫の並木道が美しいオークアレイ・プランテーションを紹介。

南北戦争についての展示も(アメリカでは南北戦争をThe Civil Warと言います)。典型的な奴隷制によるプランテーション経済であったルイジアナ州は南部州として北軍と戦いました。当時の軍服や医療器具などが展示されていましたが…実は歴史上最もアメリカ人が亡くなった戦争はWW1やWW2 ではなく、南北戦争という事実。医療技術の未発達が戦死者を増やした原因とも言われています。

 

閉館時間が迫り、最期は駆け足での観賞となってしまいました。歴史の授業でもあまり詳しく学ぶことの少ないアメリカ史だったので、知識を補完する形でとても勉強になりました。実物展示が多いのも素晴らしいと思います。

The Presbytereの見どころ

エントランス

カビルドと同じくエントランスで入場券を購入しましょう。

エントランスの天井には空き瓶を利用した照明。奥にはボロボロのピアノ…。これは有名なジャズピアニストが使用していたピアノでしたが、2005年のハリケーンカトリーナにより壊れてしまったものです。

 

1階展示見どころ①:ハリケーンの被害

1階の展示は主に2005年8~9月にアメリカ南東部を襲ったハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)及びリタ(Rita)の被害についてです。当時日本でも大きく報道されていましたからこの名前を知っている方は多いはずです。

↓ハリケーンの襲来から非難する人々で道路は大渋滞。この地域には避難手段を持たない貧困層が多く、避難できずに亡くなった方も多かったそうです。州ごとの死者数はルイジアナ州が最大で1,500人以上が亡くなりました。

↓アメリカ南東部を丸ごと覆い隠すほどの巨大なハリケーン。この写真だけで酷さがわかります。当時のハリケーンの風の音などを体験できるシアターや、被災者の音声を聞くことができます。

↓水没するニューオリンズの街。このとき、堤防が決壊し市の8割が水没したそうです。ハリケーンの襲来により、公共サービス等は完全に麻痺、非常事態宣言も発動されました。

市内最大の避難場所であったスーパードーム。避難所や市内の環境は劣悪で強盗や強姦などの事件が頻発したというニュースは日本でも報道があり記憶に新しいですね。このスーパードーム、現在でも健在でダウンタウンのハイウェイからその巨大な姿を臨むこともできます。

 

↓避難者に配布されたという救援物資。そしてなぜかスーパードームの座席の実物展示。

 

1階展示見どころ②:復興への道

↓サンタへのクリスマスプレゼントにガソリンをねだる看板(当時ガソリンが慢性的に不足していたため)。『This is not AMERICA』このメッセージは、自然災害に対して今なお混沌極める街の現状に対し、『これが本当に大国アメリカか…いやもはやアメリカではない』と嘆いたもの。

 

↓倒壊した我が家を描く男性。なんとも悲しい…。また市内の至る所では避難者向けに無料の炊き出しが行われたそうです。

 

この災害の教訓により、水害に強い街づくりへの取り組みが強化されているそうです。水害による水没に備えあらかじめ2階に居住スペースを設けるなど。

興味深かったのが、アメリカ全土の災害危険レベルを教えてくれるモニター。自身の居住地域について自然災害の危険を常に意識して生活することが大切ですよね。

↓ハリケーンはやはり南東部に集中。オレンジはトルネード(竜巻)、危険エリアは中西部に広がっています。

 

↓水色は地震。環太平洋火山帯である西海岸が危険視されています。赤色は洪水。こうしてみるとアメリカのほぼすべての地域で種類は違えど何らかの自然災害のリスクはあるということですね。

 

現在ニューオリンズの街並みにハリケーンによる被害の面影はなく、完全に復活したかのようにみえます。この地をかつて未曽有の大災害が襲ったことを記憶から風化させることなく、博物館として展示していくことは大切な取り組みだなと感じました。

2階展示の見どころ:全米最大のお祭りマルディグラ

2階は1階展示とはうって変わって明るい展示、全米最大のお祭りマルディグラ(Mardi Gras)の展示がメインです。リオのカーニバルに勝るとも劣らない迫力と言われるマルディグラはニューオリンズで毎年2月に開催(期間は年によって異なる)。

ホテルは半年以上前から予約が殺到するとのことで…実際期間中に行くのはかなり大変そうですが、この展示を見れば期間外でもマルディグラ気分を味わえます♪

↓展示室を埋め尽くすド派手な衣装!着ている無表情マネキンとのギャップが面白い(笑)

 

マルディグラとはフランス語で『肉食の火曜日』という意味。期間中は、各所でパレードが行われますが、とにかくすごい騒ぎ、すごい混雑だそうです。パレードには、巨大な山車から仮装した人々がコインやビーズのネックレスを投げてくれ、皆それをもらおうと必死で手を伸ばすのだとか。

↓この地図がパレードコース。フレンチクオーターの中心を通ります。パレードの映像なんかもあって熱狂した雰囲気が伝わってきますね♪

 

↓こちらがパレードを練り歩く山車(かなりでかい)。山車のデザイン画なんかもあったり、原色がたくさん使われていて素敵です!

その他、お祭り用の女性のドレス衣装など。ド派手&斬新。小さいお子さんでも楽しめる展示だな~と思います。

マルディグラ期間中でなくとも、ギフトショップでは、祭り関連のギフトをたくさん目するので(仮面やビーズのネックレスなど)、ニューオリンズにおけるマルディグラの存在感の大きさを実感しますね。展示室には次回のマルディグラまでの日数をカウントするカレンダーがあったりして、マルディグラを心待ちにする人々の熱狂が伝わってきます。

これら展示を楽しむと次はぜひ期間中にニューオリンズを訪問したいと思うものなのですが、いったいどれほどの混雑になることか(笑)

さいごに

どちらも小さな博物館ですが、展示は豊富でかなり見応えがあります。フレンチクオーターの喧騒から少し離れてゆっくりと展示に浸るのも楽しい時間ではないでしょうか。おすすめです。

フレンチクオーターの見どころについてまとめましたので、こちらの記事もどうぞ♪
【ニューオリンズ】観光の中心フレンチクオーターの見どころと街並み紹介。

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