ミズーリ州、セントルイスにあるセントルイス美術館(Saint Louis Art Museum)の見どころを紹介します。
アメリカのいち地方都市の美術館と侮ることなかれ…ゴッホやモネを初めとした巨匠の作品が目白押しです。コレクション数は3万点以上にのぼり、ヨーロッパ絵画をはじめ、アメリカの現代美術や、東洋美術も豊富です。
なんと入館料無料というのも嬉しいですね。
Contents
アクセス:フォレストパーク西側
ダウンタウンから西に約7kmのところにあるフォレストパークの中にあります。約5.5km²の広さを持つフォレストパーク、なんとNYのセントラルパークよりも広いんですね。元セントルイス万国博覧会の跡地である敷地で現在は市民の憩いの場になっています。
フォレストパークの中でも西側に位置するセントルイス美術館。すぐ南にセントラル動物園があります。周辺に専用駐車場(別途有料)もあるので車が便利です。
開館時間:月曜休館、10:00~17:00まで
セントルイス博物館は1904年のセントルイス万国博覧会の際に作られました(建物自体は1879年)。ギリシャ神殿風の重厚感のある白い建物です。
↓美術館の前にあるルイ9世が馬に乗っている銅像。セントルイスの地名の由来になった方だそう。
あいにくの天気でしたが、美術館前は少し高台になっているので晴れていれば公園を臨む美しい景色が楽しめます。
↓屋外にあったコンセント型のオブジェ。
ヨーロッパ絵画の見どころ
モネの睡蓮(1915-1926)
ひと際美しかったのが、こちらのモネの睡蓮。かなり大きなキャンパスで、青、紫、緑のコントラストが美しかったです。アメリカ各地にモネの作品はありますが、色合いに温かみがあり個人的に大好きな睡蓮でした。モネ晩年の作品ですね。
ゴッホ晩年の4作品
ゴッホの4作品を鑑賞することができました。年代順に紹介。
↓『Still Life Basket of Apples 1887』
左下に彼のサインがあるんですが、『Vincent 87』とファーストネームのみ記載さえています。ファーストネームのみのサインはおそらく、西洋絵画の歴史で初だと説明されていました。ちなみに下の3作品にはサインはありません。ゴッホはこれは自信作!と思った作品にしかサインはしなかった…と言われていますがどうなんでしょう。
↓『Factories at Clichy 1887夏(クリシー岸壁からみた工場)』
↓『Vineyards at Auvers 1890(オーヴェルが見える葡萄畑)』
ゴッホが最期を過ごしたというオーヴェルの町を描いた作品。この地を舞台に多くの作品が残されており、ゴッホゆかりの街として有名です。ゴッホのお墓もここにあります。
↓『Stairway of Auvers 1890(オーヴェルの階段)』
こちらもオーヴェルの町の様子。曲がりくねった力強いタッチがゴッホらしいですね。
すべて同じ部屋に並べて展示してあります。
ゴーギャン:ゴッホとの共同生活の中での作品
↓『Madame Roulin 1888 』
タヒチの女性を描いた絵画が有名なゴーギャン、ゴッホとは生まれも育ちも表現方法も異なるゴーギャンですが、1888年に2か月だけ共同生活をしていた時期があったのです。激しい気性の両者の共同生活はたった2か月で終了しましたが、お互い切磋琢磨しあいながら創作活動に励んだのですね。
ドガの踊り子
アメリカの美術館にいったい何体あるんだってくらいよく見るドガの踊り子の彫刻…。でもどれも素敵です。この作品はかなり大きめで本当に少女が立っているかのようでした。
セザンヌの水浴
↓『Bathers 1890-92 (水浴)』
セザンヌといえば『大水浴』の絵画が有名ですが、こちらにも水浴をモチーフにした絵画がありました。ちなみに大水浴はフィラディルフィア美術館にあります。
マティスの水浴
↓『Bathers with a Turtle 1907-08 (水浴する女たちと亀)』
フォービズムの巨匠として知られるマティスも水浴のモチーフが。亀を中心にもってくるのがすごいですね。かなり大きいキャンパスです。
シャガールのキュビズム作品
↓『Temptation 1912(誘惑)』
シャガールにしては珍しいキュビズム作品です。下に小さく鹿が描かれていました。
モディリアーニの面長女性
↓『Elvira Resting at a Table 1919 』
モディリアーニと言えばこの特徴的な顔の長い女性ですね。
ピカソ2作品
↓『Pitcher and Fruit Bowl 1931 』
ピカソが50歳頃の作品です。説明によると、この絵には隠された意味があり、絵の中に若い女性の姿が隠されているというのです。黄色が彼女の髪で、緑のリンゴが胸、黒い線は体の線なんだとか。一見してもわかりませんが…面白いですね。
↓『Mandolin and Vase Flowers 1934 』
パステルの配色が素敵ですね。S字を描くように描かれているそうです。
マグリット作品で有名な岩
↓『The Active Voice 1951 』
抽象的なモチーフで有名なベルギーの画家、マグリット。よくモチーフとして描かれている岩が単独で。
抽象絵画の巨匠モンドリアン
1938~41年の作品。本格的な抽象絵画を描いた最初の画家といわれています。
この日はイベントがありそれなりに混雑していましたが、落ち着いて1枚1枚楽しむことができます。模写している人の姿も。
その他のエリア
この他、宗教画やギリシャ時代の美術品も多数展示されています。
アメリカの博物館ならではのネイティブアメリカンアートの展示も。
東洋美術の展示も豊富で、日本美術だけで1室設けてありました。下の写真の屏風は16世紀後半に活躍した海北友松の山水図屏風。狩野派のお弟子さんの1人だったそうです。彼もまさか将来的に自分の作品が遠く海を渡り、アメリカのど真ん中で展示されているとは思いもしなかったでしょうね…。
ちゃんと畳の上に展示されていました。
おわりに
予想以上に素晴らしい展示が多かったセントルイス美術館。NYやシカゴ、ボストンなどの主要都市と比べると小規模なセントルイスという街に、ここまでの展示を誇る美術館があるアメリカ。改めてこの国の凄さを感じました。
近くに同じく無料のセントルイス動物園があるので是非一緒に訪れてみてください。★セントルイス動物園の記事はこちら♪
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