ワシントンDC観光の目玉といえば、すべて無料のスミソニアン協会のミュージアム見学!
数あるスミソニアンミュージアムの中でも人気No.1といわれているのが空と宇宙への夢がたっぷり詰まった国立航空宇宙博物館です。
実はワシントンDCのダウンタウン中心部にあるのは本館の方で、ワシントン・ダレス空港の近くに別館(ウドバー・ハジー・センター)もあるのですが、このページでは本館の展示についてご紹介。巨大な博物館なので滞在時間3~4時間はあったほうが良いと思います。周囲に飲食店は少ないですが、館内にマクドナルドがあります。
※国立航空宇宙博物館 別館(ウドバー・ハジー・センター)については以下記事をご覧ください。
Contents
博物館概要
〔アクセス〕
Smithsonian National Air and Space Museum
毎日10:00~17:30(夏季は延長あり。12/25を除いて無休。)
↑建物外観。同じ敷地内の自然史博物館等と比べるとかなりシンプルな造りです。
これは、航空宇宙博物館が議会議事堂に最も近い博物館なため華美になりすぎないデザインで設計されたとのこと。この博物館の公式な開館は1976年。
館内には、世界で最初の飛行機から最新型の飛行機まで、実機が展示されており、飛行機の進化の歴史を追うことができます。展示されている飛行機はすべて燃料さえ入れれば飛ぶことができるというから驚き。航空宇宙科学の面の展示や説明も充実しています。
フロアは2階までで、テーマごとに10以上の展示室に分かれています。館内マップは公式HPから確認できます。
セキュリティゲートをくぐり、いざ中へ
↑ゲートをくぐると、大きめのホールにいくつもの飛行機が展示。
平日に開園と同時に入館しましたが、開園前から並んでいる人も居たりしてわりと混雑していました。この後もどんどん混んでくるのでゆっくり間近で観覧したいなら開園直後がオススメです。
アメリカの博物館等で必ず行われるセキュリティチェック。ここでは検査員によるカバンの中の確認と、金属探知ゲートのみ。軽装で行かれることをオススメします。ペットボトルの水等の持ち込みは可能でした。
1階中央ホール 主役級展示品の宝庫
ここ1階中央ホールはこれまでも目玉となる展示が多くされてきました。入場してすぐにあるため見逃しがちですが、まずはここをゆっくり鑑賞しましょう。
↑右奥(赤枠):2004年に民間企業による初の有人宇宙飛行に成功したスペースシップワン。星柄が可愛い。
手前:人類史上初めて月面着陸を成功させたアポロ11のモジュール。ただし、同様のものが12機造られており、これは実際に使われたものではなく、月には行っていないんだとか。
この隣に本物の月の石のカケラが展示されていて触ることもできます。大阪万博では観賞するのに4時間の行列ができたという月の石…さぞや派手に展示され、人だかりができているのだろうと思っていましたが、意外にもホールの端っこで地味に展示してあり拍子抜けしてしましました(笑)
月の石は薄く、黒色の三角形でした。お隣の国立自然史博物館でみた火星の石よりすべすべしていました。
この他、1階中央展示ホールにあった目玉となる展示品をあげていきます。
リンドバーグが1927年に世界初の大西洋単独無着陸飛行を成し遂げた飛行機、『スピリット・オブ・セントルイス(Spirit of St.Louis)』。後に映画化され、リンドバークのセリフ「翼よ!あれが巴里の灯だ!」は有名ですよね。このセントルイス号はレプリカなどがアメリカ全土の博物館に置かれていることが多いですが、実機はここだけです。
他、世界初の超音速飛行を成し遂げた『ベルX-1(Bell X-1)』のオレンジの機体も必見です。
これら2機は天井から吊るされて展示してあったので、2階にあがって吹き抜けから鑑賞したほうが見やすいです。
零戦もある 第二次世界大戦機
2階西側の『World WarⅡ Aviation』の展示室には、第二次世界大戦で活躍した各国の主力戦闘機たちがズラリ。
↑日本人であれば必ず見ておきたい日本の零戦。正式名称は、三菱零式艦上戦闘機五十二型。当時そのスピードと運転性能で無敵を誇り、零銭とのドックファイト(一対一の戦闘)は禁止されていたというのでこの飛行機のすごさがわかります。1944年にサイパン島でほとんど無傷の状態でアメリカ軍に捕まってしまい、構造を徹底的に研究されてしまったという機体の実機だそうです。
以前、日本の靖国神社の遊就館のロビーに展示されている零戦を見たことがありましたが、こちらは実際に飛んでくる感じがあって迫力がありました。当時の各国のエース機たちと見比べられるのも世界中でもスミソニアンだけでしょう。
↑同じくイギリス、アメリカ、ドイツ、イタリア空軍の飛行機が展示。各国の飛行機と比べると日本の零戦は丸みがあって身軽そうな印象でした。
↑当時のエースパイロットたちの写真の展示も。5機以上の撃墜でエースパイロットと呼ばれるんだとか。この他に、当時の各国空軍の制服もマネキン着用で展示してあり、印象深かったです。
↑『World WarⅡ Aviation』の展示室の隣、『Great War in the Air』の展示室。こちらは第一次世界大戦の実機が展示。第二次世界大戦のときと比べるとそのデザインの変化に驚くところ。
世界初の飛行 ライト兄弟のフライヤー号
同じく2階に、ライト兄弟が作った飛行機フライヤー号の展示室があります。
一般に「世界で初めて飛行に成功した飛行機」と言われていますが、正確には「最初の継続的に操縦を行った、空気より重い機体での動力飛行」と定義されているみたいです。
↑グライダーのような構造。すごく華奢な造りに見えるんですが、ちゃんとエンジンも装備されていました。パイロットは腹ばいで操縦する仕組み。入室するとたまたまガイドの方が飛行機の構造についてマイクで説明してくれていました。展示室内はフライヤー号の仕組みの他、ライト兄弟についての説明も。ライト兄弟の本業は自転車屋さんなんだそうです。初耳でした。
懐かしい人も? アメリカ民間輸送機
↑1階の『America by air』の展示室。アメリカの民間輸送機として活躍した機体が展示してあります。
↑ジャンボジェット、ボーイング747型機も頭部だけ展示があり、コックピットの中に入ることもできます。機長の目線を体感。スイッチがたくさんあってどれがどれだか…。
↑アメリカの1日の民間飛行機の動きを見れる映像の展示も。これだけの数の飛行機が行き来してよくぶつからないな…と感嘆して見入ってしまいました。
宇宙関連 アポロ計画からスペースシャトル
↑1階の『Moving beyond Earth』 の展示室。スペースシャトル内での生活や研究について勉強できます。
↑2階の『Apollo to the moon』の展示室。アポロ計画とは、NASAによる人類初の月への有人飛行計画のことです。1961年から72年にかけて実施され計6回の有人月面着陸に成功しました。
↑月面走行で活躍したウーバーや、当時宇宙飛行士たちが宇宙で使用した小物類の展示など。
↑アポロ11号司令船コロンビア号の実機。
アポロ計画においてはじめて人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の司令船コロンビア号。アポロ11号に乗った3人の宇宙飛行士たちはこのコロンビア号に乗って宇宙から帰還したというからその小ささに驚きました。太平洋上に着水して無事回収されたそうです。
以前は1階中央ホールに展示があったようですが、現在は1階東側の『Space Race』の展示ホールに移っていました。
↑アメリカのアポロ宇宙船とソ連のソユーズ宇宙船のドッキング計画の様子を再現した展示。ソ連のソユーズ宇宙船は実機。コロンビア号と同じ展示ホールにあります。当時、冷戦中で宇宙事業を競い合ってきた2国が共同で実施したこの計画は当時大きな話題となったそうです。
↑第二次世界大戦中にドイツが開発したV2ロケット。『Space Race』の展示ホールの中でもひと際大きな展示で目をひきます。世界初の大陸弾道ミサイルで、初めて宇宙空間に達した人工物体。戦後はこの技術をもとにロケット技術が進んだということで重要な展示となっていました。ただこちらの展示はアメリカが復元したもので実機ではありません。
↑宇宙ステーションの内部を観ることできました。
↑映画で見たことあるような世界です。宇宙仕様のシャワーも。
↑別途有料になりますが、高速飛行機を体感できるフライトシミュレーターのアトラクションもありました。子供たちに人気で賑わっていました。時間に余裕のある方はぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
さいごに
展示物の場所や内容は時期により変更になることが多いので、事前に公式HPで確認されることをオススメします。エントランス付近に案内所もあるので目当ての展示物を言うと丁寧に教えてくれますよ。
航空機が大好きな人にはたまらない博物館だと思いますが、興味がない人でも十分楽しむことができます。さすが人気No.1博物館。
展示物の背景について調べてから行くとより実機を見たときの感動も大きいと思います。英語が得意な方であれば当日パネルの説明を読めばいいと思うのですが、苦手だとどうしても難しいですよね。
ライト兄弟のフライヤー号での1903年の初飛行から約100年足らずで人類は空を超え、はるか宇宙まで行けるようになったということに驚かされます。人類の航空への技術革新は目覚ましいものがありますね。それを肌で感じることができる博物館だと思います。