ワシントンDCのナショナルギャラリー(国立美術館)はダ・ヴィンチを初めてとするイタリア美術、13~20世紀のヨーロッパ、アメリカ美術のコレクションが充実する世界的に有名な美術館の1つです。スミソニアンの博物館群の中にあるため、スミソニアン協会の1つと思われがちですが、運営は全く別とのこと。スミソニアン博物館群同様、無料で鑑賞できますが、創設者アンドリュー氏の『誰でも入れる美術館を…』との思いから開館以降実現しているものなのです。素晴らしいですね。
巨大な美術館ですので、全部回ろうとすると半日以上は必要になるでしょう。好きな方は1日割いても足りないかもしれません。管理人は西館だけでも3~4時間ほど滞在しました。
〔アクセス〕
National Gallery of Art
毎日10:00~17:30(夏季は延長あり。12/25を除いて無休。)
Contents
西館、東館、彫刻庭園の3つのセクション
ナショナルギャラリーは3つのセクションに分かれています。年代で分かれているのでわかりやすいですね。
西館(West Building)=13~19世紀ヨーロッパ絵画、彫刻、アメリカ美術など
→レオナルド・ダ・ヴィンチ、フェルメール、ルーベンス、モネ、セザンヌ、ゴッホなど
東館(East Building)=20世紀の現代美術を集めた新館
→ウォーホールやマチスなど
彫刻庭園(Sculpture Garden)
→ナショナルギャラリーの東館を出て、西側にあります。とても広く木々が生い茂った森の中に個性豊かな彫刻がずらり。天気の良い日に散歩しながら回りたいですね。
限られた時間の中、西館のみ鑑賞したので以下、作品群について紹介します。当然全て紹介しきれるわけがないので…有名な作品、日本人になじみの深い作品を中心に選んでみました。
館内では地図がもらえますが、地図に部屋番号が無く居場所を確認するのに苦労しました。目当ての作品はあらかじめ、インフォメーションセンターで場所を聞いておくと良いかもしれません。
19世紀フランス、印象派巨匠たちの作品
19世紀の印象派のフロアは巨匠たちの作品ぞろいで、一番賑わっていた印象です。一度は目にしたことがあるような作品たちが並んでいました。柵がないため、繊細な筆使いまで至近距離で鑑賞できるのが嬉しいですね。
モネ
日本でもお馴染み。クロード・モネの『睡蓮』。『ルーアン大聖堂』、パリのルーブルにも同じモチーフで所蔵がありました。
同じくクロード・モネ『ヴェトゥイユの画家の庭』。庭の中に描かれている少年はモネの息子さんだそうです。
ルノワール
オーギュスト・ルノワール『じょうろを持った少女』、『踊り子』。ルノワールの描く少女の肌の色の美しさにはうっとりしてしまいます。
オーギュスト・ルノワール『モネ夫人と息子』。ルノワールやモネは互いに絵を描き合うなど、親密な交流があったんですね。
ゴッホ
ゴッホ『自画像』、『薔薇』。まさかこちらでゴッホの自画像に出会えるとは。ゴッホの筆使いは間近でみるとより迫力を感じられました。
米国出身女流画家メアリー・カサットの描く少女
恥ずかしながら、この美術館を訪れるまで名前を知らなかったメアリー・カサット。彼女は19世紀半ばアメリカで生まれ、フランスで活躍した印象派の画家です。アメリカに印象派を広めるきっかけにもなったと言われています。
メアリー・カサット『青い肘掛け椅子の座る少女』。この絵に一目ぼれしてしまいました。美しい青のソファーに、気だるげに退屈そうに座る少女、その横で眠るワンちゃんとの対比がなんとも可愛らしい。当時、この少女の一見だらしなくみえるポーズは酷評されたそうですが…
印象派の画家、彫刻家でもあったドガから多大な影響を受け、友情を育んだというメアリー・カサット。ナショナルギャラリーにはドガの踊り子の彫刻作品もありました。
エドガー・ドガ『14歳の小さな踊り子』。
彫刻作品も充実
彫刻作品のフロアも充実していました。サイズは小さいですが、ロダンの『接吻』。
これは昔、世界史の教科書で見たことがあるぞ!と思わず撮影。ローマの創設者でオオカミに育てられたといわれる兄弟ロームルスとレムスの姿。
アメリカ国内唯一のダヴィンチ作品
この美術館最大の目玉と言われるのが、ルネッサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチの数少ない絵画作品、『ジネブラ・デ・ベンチの肖像』です。アメリカ広しといえど、ダヴィンチの作品が観れるのはここだけというから驚き。40㎝ほどの小さい作品ですが、裏面にも植物が描かれており、裏面も鑑賞できるようになっています。モナリザが描かれる前のダヴィンチが20代の頃の作品。
同じく、ルネッサンス期の巨匠、ラファエロの作品も、『アルバの聖母子』、『ビンド・アルトヴィティの肖像』。
17世紀オランダ絵画作品
フェルメール
フェルメール『はかりを持つ女』をはじめ3作品。フェルメールの作品のサイズはとても小さくて驚きます。日本人に大人気のフェルメールですが、訪問時フェルメール作品が所蔵してある小部屋はガラガラ。なんとも贅沢な時間を過ごすことができました。
レンブラント
光と影の詩人レンブラント『自画像』。模写している方がいました。海外の美術館ではよくこういう場面に出会います。それにしても上手いなぁ…作成風景を見学できるのも貴重な体験に。
ルーベンス
ルーベンス『ライオンの檻の中のダニエル』。フランダースの犬で日本で一躍有名になったルーベンスですが、こちらの作品写真からもわかるようにかなり巨大です。間近で見るととても迫力があるので、一見の価値ありです。ライオンに囲まれた青年の怯えた表情がなんとも。
その他、オランダ絵画作品ではありませんが、日本でも有名なスペイン人画家、エル・グレコの作品も。
エル・グレコ『聖母子と聖マルティーナ、聖アグネス』。
さいごに
とにかく広い!美術館ですので1日歩き回るだけで疲労困ぱい。どれだけ部屋を周っても…まだ部屋あるの!?というのが正直な感想です(笑)。必ず地図を手にしながら回りましょう。迷います。
フランスで生まれた印象派の作品たちですが、なぜこんなにアメリカの美術館に?と不思議に思って調べてみました。発表当初ヨーロッパでは酷評されてきた印象派、いち早く印象派を評価したのは実はアメリカ人だった!との裏話があったそうです。それでこんなにも充実した印象派作品に出会えるんですね。印象派好きの管理人には嬉しい限りです。
ワシントンDC、ナショナルギャラリーを訪れれば日本では混雑必須の名画たちをゆっくり間近で鑑賞できること間違いなし。時間の許す限り滞在してみてください。
★ワシントンDCの観光地別に所要時間をまとめてみました♪