脱獄映画『”The Rock”(アルカトラズからの脱出)』のモデルとなり絶海の孤島、脱獄不可能といわれた刑務所があったアルカトラズ島。シカゴの大ギャングだったアルカポネも収容されていたことで有名な刑務所ですが、現在ではサンフランシスコを代表する観光地として公開されています(ゴールデンゲート国立保養地の一部でもあります)。
プリズンブレイクの世界を体感、刑務所見学ができるアルカトラズ島の観光についてご紹介します。刑務所見学にも2時間程度要するので、半日かけてゆっくり島内を観光しましょう。
Contents
アルカトラズ島までの行き方
チケットの購入(事前予約必須)
人気のツアーなので、インターネットでフェリーの事前予約&購入をしましょう(当日購入しようとしても既に売り切れていることが多いです)。
公式サイト左上からチケットを絞り込めます。大人ひとり35.5ドルです。日によってナイトツアーもあるので、公式サイトで時間を検索してみてください。夜の監獄内を見学できるとあって人気が高いそうです。
※公式サイトは英語サイトになるので、不安な方は現地ツアー予約サイトVELTRAでの事前予約がおすすめ。ポイントが付与されるのでお得です♪アルカトラズ島以外でもサンフランシスコ現地ツアーが多数催行されています。
ちなみに…刑務所内の見学ではオーディオガイドが付属します。日本語も選べますのでレンタルする際に申し出てください。
フェリー発着地
サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフ東側に位置するピア33からフェリーで島に渡ることができます。約15分でアルカトラズ島に到着します。
[アクセス]
↑乗船を待つ人々とアルカトラズ行きのフェリー。人気の観光地なのでいつも混雑しています。
フェリーからの眺め
フェリーからは美しいサンフランシスコの街並みが見え、束の間の船旅を楽しめます。途中、ゴールデンゲートブリッジも見ることができます。
↑アルカトラズ島に上陸。
知っておきたい…アルカトラズ島の歴史
刑務所になる前は…軍事要塞として機能
1848年、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコには多くの船が往来。灯台の建設が必要となり、アルカトラズ島に8つの灯台を建設することになりました。これがアルカトラズ島で初めての建設物となります。その後、サンフランシスコ湾を守る要塞として開発されていくことに。
刑務所時代…監獄島と呼ばれる
1860年頃からアルカトラズは軍事刑務所として機能していましたが、その後特に凶悪犯を収容する連邦刑務所に。周囲を海に囲まれ、また周辺の海は流れが速く水温が低かったことから脱獄不可能と言われていました。アルカトラズが『ザ・ロック』、『監獄島』と呼ばれるように。現在はこのときの施設が観光地として公開されています。1963年、当時の司法長官ロバート・ケネディにより施設の老朽化などが原因で閉鎖されるまで実際に使用されていました。
ネイティブアメリカンによる占拠
刑務所の閉鎖後、しばらく放置されていたアルカトラズですが、1969年から1971年の間、ネイティブアメリカンにより占拠されます。事の発端は1969年にサンフランシスコにあったネイティブアメリカンが集う集会所が火事で焼け、行き場を無くしたネイティブアメリカンが上陸したことに始まります。アルカトラズにネイティブアメリカン文化センターを設立する計画を立てたり、さまざま画策しましたが、最終的には連邦政府に制圧され島から立ち退きを余儀なくされたそうです。
一般公開へ
1971年、アルカトラズはアメリカ政府が取得し、1973年からゴールデンゲート国立保養地(Golden Gate National Recreation Area)として一般公開されています。刑務所時代の施設も国立公園の一部なわけですね。
島内の施設では、アルカトラズ島の歴史に関するビデオが上映され、刑務所棟に入ったら、臨場感あふれるオーディオガイドと共に施設内を見学できます。
日本語もあるので安心。このオーディオガイドがドラマ仕立てになっていて、当時の看守や受刑者の体験談がたくさん登場して臨場感抜群!退屈することなく楽しめます。
見どころ①:ネイティブアメリカンによる占領の跡
アルカトラズ島に上陸すると目の前にある白い建物です。赤い文字で『Indian Welcome Indian Land』と書いています。色が薄れていて見づらいですが。占拠時代の名残ですね。
フェリーの帰りの時刻表もこの白い建物にあるインフォメーションセンターでわかります。
見どころ②:囚人たちの独房
いよいよ刑務所棟の中に入っていきます。オーディオガイドをレンタルし、囚人たちの独房があったエリアへ。
縦に3つの独房が並びます。海外ドラマ・プリズンブレイクで見たような世界に衝撃。
当時いた看守や囚人たちの写真がパネルに貼られ、オーディオガイドで説明を聞くことがきます。囚人たちの部屋も再現され、当時の囚人の生活を窺い知ることができるのです。プリズンブレイクでは2人部屋でしたが、ここはすべて1人部屋なんですね。
アルカトラズに収監されていたという『有名な囚人たち(Famous Inmates)』の写真も。
囚人棟の中央の時計がある通りは『タイムズスクエア』と呼ばれていたそうです。なかなか遊び心がありますね。他、図書室などとにかく見どころは多いです。
見どころ③:ガンギャラリーとアルカトラズの戦闘
運動場に続くドアの上にある格子に囲まれたエリアは、常に銃を持った看守が監視していたことから、『ガンギャラリー』と呼ばれている。このガンギャラリーからすべての独房が見張らせるようになっていました。
脱獄困難といわれたアルカトラズですが、実は計14回も脱獄事件があったそうで…。そのうち戦闘にまで発展したのが1946年の起こった「アルカトラズの戦闘」です。受刑者が看守を襲って武器と監房の鍵を手に入れましたが、出口であるガンギャラリー下の運動場のカギを発見できずに、結局脱獄は失敗したとのこと。この事件で3人の受刑者が亡くなり、看守も2人亡くなったそうです。
見どころ④世紀の大脱出の一部始終
看守の目をごまかすために作ったのは…?
アルカトラズで発生した脱獄事件のうち一番有名なのは、1962年に兄弟で起こした脱獄事件(まさにプリズンブレイクじゃん…)。
紙と粘土でダミーヘッドを作り、さも人が寝ているかのように見せかけたそうです。髪の毛は散髪で切り落とされたものを活用したとか。発想がスゴイ…。深夜は看守の見回りが手薄ということで、朝の呼びかけ時に返事が無かったことで発覚したそうです。
↑脱走時の脱獄も再現。実際みると、人形の不気味さにぎょっとします。
○○を使って独房の壁に穴を…?
この兄弟、自身の独房に穴をあけて、外に出たということですが、いったいどうやって穴を開けたか。なんとスプーンです。スプーンでコンクリート壁を掘り進めるなんて気が遠くなりますよね。しかもこのスプーン、華奢なつくりで、本当にそんなことができるのかとても不思議でした。土産売り場でスプーンのレプリカが販売されていますので、実際に手に取ってみてください。
独房の裏にあった通気口を通じて脱出!
独房の裏にあった通気口を通って刑務所から脱獄します。犯人のひとりに通気口のレイアウトについて詳しかった人がいたのでしょうか…。
↑脱獄犯たちが見たであろう景色も覗けました。プリズンブレイクのOPがよみがえる…。
○○を使って絶海からサンフランシスコへ…?
刑務所から脱獄してからが問題。周囲は海に囲まれてます。彼らはゴム製レインコートを用意しており、ボート(というか浮き輪?)にしてアルカトラズ島から逃げ出したそうです。ただ、アルカトラズ島の周りは海水が冷たく流れも厳しいため、レインコート製ゴムボートだけで海を渡りきるのは困難…。脱獄犯が逃げ切れたのか、溺れて死んでしまったのか…真相は闇の中です。
この脱獄事件を機に、アルカトラズ刑務所の施設の老朽化が問題視され、刑務所の閉鎖に繋がったそうです。併設されたギフトショップには脱獄を知らせる当時の新聞も。
見どころ⑤:アルカトラズ島からの眺め
刑務所長室から外に出ることができ、アルカトラズからサンフランシスコの街を眺めることができます。当時、囚人たちは島からこの景色を見て何を思ったのでしょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。刑務所施設をすべて周り、オーディオガイドを聞き終わった後は、映画を見ていたかのような錯覚に陥ります。そのぐらい楽しめました。
監獄島の印象が強いアルカトラズですが、自然豊かな島であり野鳥の保護区にもなっているので、緑あふれる美しい島です。ぜひ、ゆっくり島内を散策して景色を楽しむのも良いと思います。サンフランシスコを訪問の際は是非行ってほしいスポットですね。
事前に、クリント・イーストウッド主演の映画『“The Rock”(アルカトラズからの脱出)』もしくはプルズンブレイクを見ていくと気分が高まると思いますので、是非。